わが国全体のエネルギー消費は一貫して増加の傾向にあり、地球温暖化対策に関する京都議定書が発効され、温室効果ガス6%削減達成が目標となる等、各分野におけるエネルギー使用の合理化をなお一層進めることが急務となっております。
こうした背景のもと、エネルギー消費量の伸びの著しい運輸分野における対策を新たに導入するとともに、工場・事業場及び住宅・建築物分野における一層の対策等の措置を講じるため、省エネルギー法が改正され、2006年4月1日から施行されました。
特定輸送事業者並びに特定荷主は、毎年4月に前年度の輸送に関するエネルギー使用量の報告と当年度の省エネ計画を策定することになりました。
特定荷主に該当すると、次のような方法でエネルギー使用量の算定を行う必要があります。
車両の燃料使用量が把握できる場合に用います。もっとも精密度が高いですが、混載の場合には荷主別や按別が必要となるため詳細なデータ把握が必要となります。
車両の燃費と輸送距離が把握できる場合に用います。実測で燃費が把握できれば精密が高いですが、混載の場合には荷主別按分が必要となるため詳細なデータ把握が必要となります。
最大積載量別積載率別の燃料使用量に最大積載量別に集計された輸送トンキロをかけて算定します。この手法は積載率による原単位の違いを反映できます。
東京都品川区から札幌市白石区まで積載率60%の10トン車を輸送した場合、下記の式(*)を利用して計算すると下記の表になります。陸送モードと比べて排出量は半分以下になります。
陸送モード(八戸-苫小牧フェリー利用) | |||||||
品川→八戸港 | 八戸→苫小牧 | 苫小牧→札幌市白石区 | エネルギー使用料 | CO2排出量 | |||
陸送 | フェリー | 陸送 | (MJ) | 1,116.3 | |||
682km | 242km | 70km | 16,223.38 | ||||
13,495.1432 | 1,343.10 | 1,385.132 | |||||
大洗-苫小牧航路利用 | |||||||
品川→大洗港 | 大洗→苫小牧 | 苫小牧→札幌市白石区 | エネルギー使用料 | CO2排出量 | |||
陸送 | フェリー | 陸送 | (MJ) | 557.0 (50%削減) |
|||
120km | 754km | 70km | 7,944.34 | ||||
2,374.512 | 4,184.70 | 1,385.132 |
熊本県熊本市⇒東京都中央区まで積載率60%の10トン車を輸送した場合、下記の式(*)を利用して計算すると下記の表になります。CO2の排出量を1/3に抑制します。
陸送モード | ||||
一般道 | 高速道 | 一般 | エネルギー使用料 | CO2排出量 |
10km | 1,221km | 5km | (MJ) | 1,677.0 |
197.876 | 24,160.7 | 98.938 | 24,457.47 | |
当社博多航路利用 | ||||
熊本→博多港 | フェリー | 東京→中央区 | エネルギー使用料 | CO2排出量 |
110km | 1158km | 5km | (MJ) | 615.6 (63%削減) |
2,176.636 | 6,426.9 | 98.938 | 8,702.47 |
茨城県鹿嶋市⇒福岡県北九州市戸畑区まで積載率60%の10トン車を輸送した場合、下記の式(*)を利用して計算すると下記の表になります。CO2の排出量を1/3に抑制します 。
陸送モード | ||||
一般道 | 高速道 | 一般 | エネルギー使用料 | CO2排出量 |
130km | 1,052km | 10km | (MJ) | 1,617.3 |
2572.388 | 20,816.6 | 197.876 | 23,586.82 | |
当社苅田航路利用 | ||||
鹿嶋→追浜港 | RORO船 | 苅田→北九州市戸畑区 | エネルギー使用料 | CO2排出量 |
152km | 1003km | 25km | (MJ) | 638.2 (60%削減) |
3,007.7152 | 5,566.65 | 494.69 | 9,069.0552 |
(*) 例1〜例3の計算方法
【トラック】
輸送トンキロ(トンキロ)xトラックトンキロあたり燃料使用料(キロリットル)x単位発熱量(GJ/キロリットル)x排出係数(t-c/GJ)x44/12
【船舶】
輸送トンキロ(トンキロ)xエネルギー消費単位(MJトンキロ)x排出係数(t-c/GJ)x44/12
※トラック改良トンキロ法エネルギー消費原単位10t車場合:0.0518(リットル/t・km)
(参考)経済産業省・国土交通省 改正省エネ法 経済産業省告示第66号及びパンフレット「改正省エネ法の概要より
※CO2は排出係数 軽油0.0187(tC/GJ) C重油0.0195(tC/GJ)
(参考)経済産業省・国土交通省 改正省エネ法 経済産業省告示第66号及びパンフレット「改正省エネ法の概要より
※貨物輸送量あたりの燃料の発熱量 鉄道0.491 船舶0.555 航空機 22.2
(参考)経済産業省・国土交通省 省エネ法告示及び地球温暖化対策推進法施行令・省令及びパンフレット「改正省エネ法の概要」より
物流分野のCO2削減に向けた自主的な取り組みの拡大に向け、荷主企業(発荷主・着荷主)と物流事業者による業種業態の域を超えた協働・連携の推進を目的として、国土交通省および経済産業省が社団法人日本物流団体連合会、社団法人ロジスティクスシステム協会、社団法人日本経済団体連合会とともに設置したものです。
グリーン物流パートナーシップ会議では、波及効果が高く且つ持続可能な、物流分野におけるCO2排出削減効果(省エネ効果)のある「新規型」プロジェクト(モデル事業)と「普及型」プロジェクト(普及事業)を募集します。
モデル事業として提案された実施計画は、グリーン物流パートナーシップ会議において推進決定されますと、経済産業省の補助制度「グリーン物流パートナーシップモデル事業費補助金」を利用することができます。